『 サ・レ・ガ・マ・パ・ダ・ニ・サ 』
何とも言えない響きで、私はこれを歌うと何だか、モノクロの世界がカラフルで華やかになる魔法の粉をふりかけたみたいに感じます。
インド音楽のドレミファソラシドは、サ・レ・ガ・マ・パ・ダ・ニ・サ ♪
さて今回は、インド音楽のいろはとも言える、サレガマパダニサ の言葉の意味をご紹介します!!
- - - - - - - - サ Sā
シャドジャ(Ṣaḍja षड्ज)
ヒンディー語 →Kharaja खरज ブラフマンが形を持って顕現したもの(サーカーラ・ブラフマン) レ Re
リシャバ(Ṛṣabha ऋषभ)
ヒンディー語 →Rikhaba रिखब リシ(賢者)の住まうところ ガ Ga
ガーンダーラ(Gāndhāra गांधार / गान्धार) ガネーシャ神のエネルギー(吉兆) マ Ma
マディヤマ(Madhyama मध्यम) シヴァ神(マヘーシャ)、中心にあって静かな、男性的なエネルギー パ Pa
パンチャマ(Pãncama पञ्चम / पंचम) パールヴァティー女神、シヴァ(マ)の傍らにあって、柔らかで活動的な女性エネルギー ダ Dha
ダイヴァタ(Dhaivata धैवत) 北極星(Dhuruva)、明るく輝き、方向や道を指し示す ニ Ni
ニシャーダ(Niṣāda निषाद)
ヒンディー語 →Nikhāda निखाद
形を持たない、顕現していないブラフマン(ニラーカーラ・ブラーフマン)
[出典]Dhrupad Camp 2018@京都トコ会館 テキスト「北インド古典音楽の基礎知識 講師:Pt. Ritwik Sanyal テキスト作成:Shree」より
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このように、インドのサレガマパダニサには、サンスクリット語やヒンディー語の正式名称があります。それらのひとつひとつが、ヒンドゥー宇宙的意味合いを含んでます。
ここではサンスクリット語で表記しましたが、ヒンディー語では単語の最後の短母音aは発音されません。短母音のa以外にも違いがあるものは、ヒンディー語表記も追加してあります。
ちなみに、インドでインド音楽を習うときは、ヒンディー語の発音で習うことがほとんどなので、現地で実践的に学ばれている方にとっては、ヒンディー語の方が馴染みがあるようです。また、流派や先生によって教わる言葉や内容も違ったりします。
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さて、では ” サレガマパダニサ のひとつひとつが、ヒンドゥー宇宙的意味合いを含んでいる “ とはどういうことなんでしょうか!?
インド古典音楽は、低い「サ」の音から始まり、1オクターブ高い「サ」までいかにしてのぼっていくか、その過程でどのように一音一音の中に宇宙を展開し音楽的な表現をしていくか?を追求する、哲学的思想に基づいた芸術であり、瞑想であり、祈りでもあります。
「サ」は、(サーカーラ・ブラフマン)ブラフマンが形を持って顕現したもの。 「ニ」は、(ニラーカーラ・ブラーフマン)形を持たない、顕現していないブラフマン。
と書きましたよね。
ブラフマンとは、インド哲学の言葉で、宇宙の最高原理(至高神)を表しています。
ざっくり言うと神様ですね。
そして、サーカーラとニラーカーラの意味はと言うと…。
サーカーラ ~形のあるもの~
このサ(=Sa)は、古来「存在」をあらわす記号として用いられてきました。
インド思想最大のキーワードである、sat(存在 / 真実在 / 真理 )は、孤立語のṣa ṭha(胎児・顕現)に由来します。
ṣa ṭhaの2音節が接合し、satha→sata→satと変化していきました。
ニラーカーラ ~形のないもの~
対するニ(Ni)のN(=Na)は、無上をあらわします。
無上であるがゆえに、英語のnotのように否定詞としても用いられます。
インド古典音楽で最も重要な「サ Sā 」の音。
ここから全ては始まっていくんです。
今回は、「サ Sā 」の音を中心にご紹介してみましたが、いかがでしたか?
また続編を書いていきますので楽しみにしていてください。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ABC INDIA! Ai
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